水平線に手が届く

鴻巣市のいじめ事件記録【誰かが被害を繰り返さない為に】

【鴻巣市いじめ事件の記録No.4】

学校がいじめを行った児童の保護者たちを呼び、そのいじめの話し合いが頓挫してから、驚くことに、学校側はまるで「我関せず」の態度を取り始めました。「いじめの件はどうなっているのでしょうか」「3人の保護者に謝罪の気持ちがあるのか聞いてほしいです」と学校側に打診しなければなりませんでした。私が打診をしないと、学校側からの連絡はありませんでした。

 

この間、息子は話し合いがなくなって、恐怖で学校に行くことが出来なくなりました。学校側は本当に(これはどう考えても驚くべきことですが)、どれだけ息子が不登校になっていても、今後のことについて電話のひとつすらくれませんでした。

 

校長に息子が直接電話で「体育祭の時もいじめられていました」と言うと、私に代わり、「お母さん、いじめはありません。〜君(息子)は楽しかったんです。作文にも楽しかったと書いてありました」と言いました。

 

校長の電話を切った後、息子は「校長先生はいじめを認めていない?」と私に聞きました。私が認めていないようだと答えると、息子は「えっ!?」と驚いていました。また作文については、「作文にいじめられていたって書けるわけないじゃん。先生に怒られる」と言いました。また体育祭で悪口を言われて、担任がそれを聞いても、注意をしてくれなかったと言っていました。

 

10月中旬、続けて学校から連絡がなかった為、初めて教育委員会に電話をしました。この電話のすぐ後に、担任兼顧問から電話がありました。担任は「今まで連絡しなくてすみませんでした」とだけ言いました。息子の言葉として、勉強が心配、部活をやりたい、他の友達に会いたい、いつになったら学校に行けるでしょうかと聞いた所、「どこか他で学べる所があると良いですね」と素っ気なく答えられました。

 

その面倒そうな他人事の応対に私は絶望しました。もうこのままではいじめの問題を解決できず、息子は学校に通えないと感じました。

 

私は本当に悩みました。いったい、誰に相談すれば息子が再び学校に行けるようになるだろうと考えました。そうして、意を決して第三者である弁護士に相談するしかないという考えに至ったのです。

 

こうして10月中旬、弁護士への相談と依頼を行いました。あくまでも私は息子を再び学校に通わせたいというだけの目的でした。

 

2019年11月1日、弁護士の働きかけによって、校長、学年主任、鴻巣市教育委員会、弁護士、義弟、私の面談が取り開かれました。弁護士から事前に質問事項を提出していた為、学校側がその回答を行うものと考えていました。しかし、校長は質問事項には答えず、次の発言を行いました。

 

・いじめは9月から始まった。悪口や避ける行為はあったが、暴力や暴言は無かったと聞いている

・ズボンを下げたという行為について、加害児童はズボンを上げたと証言している

・加害児童が音楽室でいきなり背中を叩いた事はないと証言しており、それは別のxx君だったという事である

 

これらは、明らかに息子がこれまで話している事実と異なっていました。例えば、「暴力や暴言は無かったと聞いている」の「聞いている」という言い方は、完全に傍観者の口ぶりでした。校長は学校の最高責任者として「いじめを調査した、その結果このような事が分かった」と責任を持って断言しなければならないと思います。

 

また、校長は次の発言もしていました。

 

・5月に実施したいじめアンケート調査で学校が楽しくないという回答があり気にはなっていた

 

この件については、担任兼顧問が息子に対して「何で学校が楽しくないんだ?」と聞いたそうです。息子は「チクったと言われて余計にいじめられるから、正直に言えなかった」「中学に上がったばかりだから勉強が難しいと言って誤魔化すしかなかった」と言いました。

 

息子は特にこの「チクったことで余計にいじめられる」という事をずっと恐怖に感じていたようです。息子は小学校6年の時から自分をいじめ続けているAと同じクラスになり、他の学校から来たBやCもそれに加担するようになりました。息子が通りかかった時、AがBに『コイツすぐチクるんだぜ』と聞こえるように言ってきました。息子はそれを聞いて、Aに噂を広められて(小学校の時のいじめられいたことを)またいじめられるな、と思ったと言いました。とにかく、いじめられていることがずっと頭にあり、勉強も身に入らなかったと言います。

 

それだけ追い詰められた息子のことを「気にはなっていた」と発言した校長ですが、それに応じて何かをしてくれたのでしょうか。校長本人が息子への声掛けや調査を行なってたのなら「気にかけていた」という状況になるかもしれませんが、実際には何もしていません。

 

この11月1日の話し合いにおける校長の発言は学校側が初期に行ったいじめ調査の結果を示す重要な事項なので、後に、私は保有個人情報開示請求によって記録の開示を求めました。すると、校長の発言について保有していないとの理由により不開示となりました。(この場に鴻巣市教育委員会の人間が同席していたにも関わらず)

 

そして校長は9月の時点で「加害児童を注意して、いじめを止めさせる」と"約束"していながら、注意どころか、いじめの調査もまったく行っていませんでした。

 

私側は「加害児童3名をクラス替えして、それによって息子の安全な教育環境を取り戻して欲しい」とお願いをしました。校長はこれに対して、明確な答えを示しませんでした。校長はこれに対して、クラス替えの件をお茶を濁しながら、「加害児童の謝罪だけは行う」と言いました。これはどういうことかと、私たちはさっぱり意味が分かりませんでした。

 

先ほど、校長はいじめが存在しない、暴力や暴言はないと、はっきりと断言したのです。もしその調査結果が彼らの回答であるのなら、加害児童は何を謝るというのでしょうか?

 

こうした校長と学校側の言動を受けて、弁護士が「このまま不登校が長引く事は被害生徒の復帰が困難になる。いじめ重大事態に発展する可能性がある為、早急な対応を求める」と言いました。これも後に、市教委作成の報告書において事実が捻じ曲げられ、「いじめの重大事態に発展する可能性がある」という言葉の発言者が校長になっています。

 

いじめをし続けた加害児童3名が教室で授業を受け、いじめられていた息子が教室に戻れずにいる。そのあまりに理不尽な状況が、延々と続きました。

 

(次回へ続く)