水平線に手が届く

鴻巣市のいじめ事件記録【誰かが被害を繰り返さない為に】

【鴻巣市いじめ事件の記録No.9】

11月15日、校長から弁護士に、「加害児童3名のクラスを替える、2年に進級するまでクラスに戻さない」という決定が電話で伝えられました。校長は弁護士との打ち合わせ後、同日中に「加害生徒の保護者たち」に会っていました。

 

その話し合いの様子が、市の資料に次のように書かれています。

 

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(1)18:00~20:20 C母、A母、B両親、校長、教頭、学年主任で面談を行った。

①「別室指導」について

・「納得がいかない。」「それはひどい、いじめをしたと認めることになる。」「周りからいじめられる「自分の子が不登校になる。」「学校は冷たすぎる。」「なぜ、この場に教育委員会はいないのか。」「将来(進路)に影響が出る。」等の発言を、それぞれの親が言った。B父からは、「こちらも代理人を立てる。」との発言があった。「再検討してください。」と言い、退席した。

 

②「いじめ問題調査委員会」について

・「ぜひやっていただきたい。」けれど、その結果を受けてからの「別室指導」なら分かるが、現段階では納得いかない。

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ここで加害児童の保護者たちは「別室対応」に反対していることが伺えます。そして校長は「加害側にどう寄り添えば良いのか」という見解を示しています。こうして、完全に3対1の構図となり、この話し合いによって校長が急に決定事項を変更する事になったようです。

 

また「11月21日に、~(息子)が来なかった場合、早期の解除もあり得る」と加害側に言っています。加害児童3名がもとのクラスに戻ることを前提にして話が進んだのです。相変わらず、私たちに何の相談もなく。

 

こうして校長が決定事項を一方的に変更したことにより、息子がクラスに戻ることが叶わなくなりました。再度、弁護士の方から話し合いの場を設けるように学校に依頼をしました。

 

11月25日、校長、鴻巣市教育委員会(2名)、弁護士(私の代理人)の4者で息子が学校に行けるように話し合いが行われました。その時、学校から弁護士に説明がありました。話し合いの結果、その内容であれば、息子は学校に行くことが出来ると言いました。

 

校長の発言の変更が再び起こらないように弁護士に書面の作成を依頼しました。

 

その書面は次の通りです。

 

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<通知書内容>

(※抜粋)

 

当職は、通知人~ (以下,両人を「通知人」といいます。)の代理人として、貴校に在学している生徒(以下,「加害児童」といいます。)からいじめを受けて不登校になっている件について、以下のとおり御通知します。

 

先日,当職と貴職でお話し合いをさせていただきましたが,通知人としては【貴職から説明をいただいた内容のとおりであれば】,~を登校させることができると考えており、~自身も登校することが可能であると話しております。念のため、先日お話をさせていただいた内容について,双方に齟齬がなきように下記で記載をさせていただきます(特に,通知人が重要だと考えている点についてのみ記載をしております。)。

 

・2週間を経過したあと、加害児童を~が学習しているクラスの教室に戻すかどうかについて,貴校は,当職(または通知人)に対して意見を聞く。

・当職において、~の意向を確認したうえで、上記に対して回答をする。

・当職が、加害児童を~が学習しているクラスの教室に戻すことを希望しないと述べた場合には、貴校は,当該判断に従う。

 

・貴校において,当職や通知人の意向に反して,加害児童を~が学習しているクラスの教室に戻すことをしないものとする。

 

本通知書は、被害者代理人が、11月25日における校長らとの対話内容と、校長か自ら発言された決定事項を通知書としてまとめ、改めて文章で合意と実行を求める目的で作成された。

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通知書をFAXしてから、数日経っても学校から弁護士に返答がありませんでした。私は決定したことは良いが、いつから学校に行けるか不安でした。私は弁護士に学校に実行日時について決定してもらうように依頼したところ、弁護士から次のメールの返事がありました。

 

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弁護士から私へのメール

①2019/12/04

校長先生と改めて話をいたしましたが、やや歯切れが悪くなっており、明日まで回答を待ってほしいと言われております。私のほうは、これまで話があったことをまとめているだけですというようなことを話しておりますが、問題を調整しているようなことを言っております。

 

②2019/12/06

校長先生から回答書が届きました。内容としてはそもそも2週間の別室での対応すらも実現できないというようなものになっていて、これまでの話が全てひっくり返るようなものとなっています。午後にお電話をさせていただきます。

 

※補足:尚、1回目に校長の決定が覆された際も、弁護士に何も伝えていなかった証拠が幾つも私の手元にある。例えば、教頭が私に「明日学年集会でいじめの件を話す」と言った事について、2019/11/19に弁護士からメールで「学年集会については存じ上げておりません。今のところどのような内容のものかも確定的な連絡は受けておりません。」と知らされている。

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更に弁護士の話によれば、校長が3人を別室対応せず、息子を別室または教育支援センターで学習させる事を考えているという事でした。決定事項が変更になったばかりか、その一方的な変更の内容についても「考えている」という表現であり、はっきり体制を整えていないことが伺えました。

 

校長はまたこちらに相談なしに一方的に決定内容を変更したのです。1回目と同じでした。弁護士が書面にしなければ、校長の決定内容と変更事項の事実に関する証拠が残らなかったでしょう。その場合、鴻巣市教育委員会と学校は、この変更に関する事実を隠蔽し、私と代理人が原因で息子の復学ができなかったというシナリオにするでしょう。

 

この2度の復学決定の覆しは、本当に悲しかったです。前回も私と息子は大変なショックを受け、まさか2度目も同じことが繰り返されるとは思ってもいませんでした。弁護士に間に入っていただいても、この結果でした。息子の今回のショックは相当なもので、私は息子に本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

 

校長が息子に行くように通知した教育支援センターは家で車で15分。ここに通う為には迎えが必要です。歩いて行けるような距離ではなく、バスの本数も少なく、朝9時台からバスが出て1時間に1本です。私は正職員で仕事に従事しているため、その送迎が出来ません。

 

息子には別室や教育支援センター以外の選択肢はないのか。なぜ被害者である息子がもとのクラスに戻れないのか。この間、加害児童3名は前と変わらずクラスで学校生活を送っているのです。無念でした。

 

私はその後、12月4日、弁護士との会話をしています。

 

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・弁護士と私の電話(2019/12/04)

 

弁護士:なかなか話が進まない。学校へは、出来ることからどんどんやってくれと頼んだ。

私:何も進んでいない。同じことを繰り返している。

弁護士:校長先生と話をしても進まないので、市教委でやってもらうしかない。

私:冬休みになってしまう。どうして良いのか毎日分かりません。

弁護士:もう話として、そもそも2週間の別室対応という話がなくなっているのはどうしてなのか?"2週間の別室対応”ってこちらが求めたわけでもないし、して欲しいと言ったわけでもないし、逆に3人のクラス変更して欲しいっていう話をしたことに対して、市と校長は2週間冷却期間を置くみたいな事を言ったのに、それもやらないっていうのはなぜか?という話をしましたが、答えとして全然なっていない。調整する必要があるとか、会話としてなかなか話が通じない。

私:こんなことって…2度ももう来ないでくれと言われているようなもの。

弁護士:【"交渉"というのは信頼で成り立っているので、話をしたことを一つずつ実現していく。実現できないことは、どうするかという話をしていくしかないんですが、ただ信頼自体が出来ない。】普通のところであれば、もう校長先生と話をして「分かりました」で、もうあのタイミング(11月25日)で出来ているはず。"交渉で上手くいった”ってところだと思う。校長先生も言ったことに否定していないので。

私:これで「決定」となったわけですよね。

弁護士:はい。じゃあ、明日から行きます(決定したから)っていうレベルの話。校長、市はうやむやにしたかったのか…それ以外、可能性として何を考えていたのか分からない。

私:何どうしたら良いのか。

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本案件は、一般的な社会的通念と倫理的感覚があれば、まったくここまで人間関係が拗れるような話ではありません。第一に、学校側は被害者側に決定事項を伝える前に、加害者側と協議を行うべきでした。第二に、学校側が加害者側から反発を受けて決定事項をどうしても再調整しなければならないのであれば、決定事項を焼き直す責任を素直に認め、FAX1枚で強制的な通知を行うのではなく、改めて被害者側と協議をするべきでした。問題を隠蔽せずに、問題を問題として認める、ただそれだけの事で良かったはずです。

 

この状況にも関わらず、市の資料には次のように記載されています。

 

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・~の不登校を解消するのが最優先である。~が登校し、わだかまりをとけるようにした

い。

代理人と~母に差異が生じていて困惑している。

※11月25日に学校から弁護士に説明された内容(弁護士が通知した内容)が話し合われているため、この証言と資料を得るために保有個人情報開示請求を行っています。しかし、資料には話し合いの内容についての記載はありませんでした。

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再び、弁護士と私の会話を次に書き出します。

 

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・弁護士と私の会話(2019/12/4)

 

弁護士:前の時もそうですけど、あいまいなところにしたかったのかなというような気がするんです。とりあえず来てしまえばこっちのものだみたいな感覚があったと思います。

私:言ったことに責任とれるのであれば書面にしてサインも出来るはずです。改めて"サインする、確約する"となったらくつがえす。(11月25日の話し合いで3人の加害児童を2週間目途に別室にするとのことの決定)って言うのは、もう信用できません。もう2ヶ月以上も学校に行っていない。いまだ調整するとか、待ってくれってちょっと考えられません。加害児童たちは学校に行って授業を受けている傍ら、こちらは不登校状態で、こちらを学校に行けるようにどうにかしようというのは気持ちはそもそもないんでしょうか。学校は何をどうしたいのか分かりません。

弁護士:会う度に本当にこちらのためにやりますみたいなことは言っているんですけど、そこは内心そうではないんだろうなっていうのは分かってきています。

私:こちらはもともと、2週間も望んでいませんでした。だけど学校がそうしてくれって言って、こちらは分かりましたって言ったわけじゃないですか。それで何でここに来て、くつがえされるのでしょうか?(3人の)別室対応が出来ないってことなんですか?

弁護士:本当はもっと柔軟にやりたいというか、良く校長先生が言っているのが、謝らせて仲直りさせるみたいな方法になるべく持って行きたい。こちらはそんな簡単なことではない。本心としては(校長は)そっちにもっていきたいのか、あるいは加害者の方にどう話をしようか、反対されると怖いなというのがあるかもしれません。

私:校長先生はこちらが書面にして初めてこういう約束をしたと思ったのでは?

弁護士:(校長)はうまくごまかそうとしたのではないか。とりあえず~(息子が)が来てしまえば勝ちというか、なんとでもなるみたいな感じだと思います。

私:校長は言っただけでは右から左に流れちゃう人だから、書面にしないと分からないのでは?軽く考えているから。どうすれば良いか分かりません。

弁護士:いじめを軽く考えてるっていうこともあるかもしれないが、あとはやっぱり何というか、【話が……こう、どこまで話をしても通じているのか通じていないのか分からない難しさというか、話をしたけれど、認識が全然違っていたりする。】

私:本当にそうなんです。話しててわけが分からなくなる。

弁護士:はい。

私:ここにきて、決定事項がくつがえされると思っていませんでした。

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このような状況にも関わらず、市教委と学校は報告書で、「被害者側の保護者の条件を一度飲むと、その保護者が必要以上の要求を行ってくる可能性がある」という記述を行っています。なぜこのような考えが浮かぶのでしょうか。要求も何も、私は最初から一貫して「息子が暴言・暴力を振るわれず、再び“安全に"学校に通えるようにして欲しい」という極めてシンプルなお願いをしているだけなのです。

 

この当然の主張を受け入れ、いじめという重大問題を解決するために別室対応やクラス替えなどあらゆる手段を、被害者側からの主張なくとも即座に自ら行うべきです。それが法倫理に基づく彼らの職責なのです。学校側が「懸念」するべきは「被害児童のが再びいじめられる状況」であるべきです。一体、この人たちは誰を守ろう、何を変えようとしているのか、私はあまりに理解に苦しみました。

 

しかし、市の資料によれば、学校側は一貫して次の姿勢を取っていたと言います。

 

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・基本姿勢

「自分だけじゃない」とか「自分が疑われた」等、問題をすり替えてしまうような発言がまかり通るような社会を断じてつくってはいけない。我々はそうした発言にひるんではいけない。…(中略)…今回の事件をきっかけに我々は今一度自分たちの姿勢を見直し、いじめを絶対に許さない姿勢を確認し、そうした態度を生徒に示すことで、生徒も安心して生活できるようになるはずである。

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ここまで時系列の出来事を追ってきて、もう言うまでもないことだと思いますが、真逆です。ただただ、このような内容を書けることに驚きます。問題をすり替えてしまうような発言を繰り返し続けていたのは、他ならぬこの学校と市教委です。いじめを許して、絶対に被害者をクラスに戻らせないようにして、その態度を私たちに示すことで、日々不安と恐怖と悲しみを感じ続けました。

 

ただ、ひとつだけ上の彼らの記述で真実があるとすれば、「そうした発言(被害者側の訴え)にひるんではいけない」という点であったと思います。

 

また、この資料の記述も書き添えておきます。

 

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<校長から加害児童の保護者たちに向けて、「11月21日から別室指導を行う」という説明があった際の、保護者らの意見>

・子どもがショックを受けている。

・「不登校になる。」

・学校がその責任を取れるのか。

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学校もさることながら、保護者たちのこの見解も人としての心がないのかなと思わざるを得ませんでした。小学校から続くいじめでもっともショック(心身の危害)を受け続けていたのは息子です。その後も学校の対応により、息子の不登校が続いてしまいました。当時知り得なかったことですが、どうしてこのようなことが言えるのでしょうか。人はどこまで利己的になれるのでしょうか。

 

(次回へ続く)