水平線に手が届く

鴻巣市のいじめ事件記録【誰かが被害を繰り返さない為に】

【鴻巣市のいじめ事件記録簿 No.0】

埼玉県の北部にある鴻巣市(こうのすし)──こうのとりがこの地に平和を運んでくれたという言い伝えがあり、「こうのとりの巣(こうのす)」からこの地名がつきました。古い歴史を持つ関東圏のひとつの街です。

 

ここの中学校でひとつのいじめ事件が起きました。被害者は私の息子です。このいじめを私が知る事となったのは、息子が中学校に上がってからでした。

 

その数か月前、小学6年の3学期が始まった後、息子から次のことを言われた事がありました。それは「下校時に教室を出てから昇降口の所まで通せんぼをされて、帰るのを邪魔されている。2学期から今も。帰れなくて困っている」というものでした。

 

階段を降りる途中なので、この行為はお互いに怪我してからでは遅いと思いました。そこでD君のお母さんとは知り合いだったので、LINEでこれを聞くことにしました。D君もふざけていたつもりなのかもしれないという事で、もう道をふさいだりしないと約束して貰いました。

 

また小学校の時、3月に、目の上やおでこに引っかき傷を作って帰宅した事がありました。担任の先生から電話があり、「喧嘩があった、保健室で処置しました」と言われました。相手の子に怪我は無かったですか?と聞くと、無かったと言われました。それを聞いて安堵しました。

 

私が息子に何があったのかを聞くと、息子は相手の子から「ちょっとこっち来いと言われ、他の教室に連れていかれて引っかかれた」と言って、「先生にうまく説明できなくて何も言えずに帰って来ちゃった。信じて欲しい。」とも言いました。

 

これを受けて私は担任にそのままの言葉を伝えると、後日、担任から「相手から手を出てしまったようです。申し訳ありませんでした」という謝罪がありました。担任から、相手の保護者から連絡がいくかもしれないと言われましたが、ありませんでした。

 

3月卒業式前、誰からも何も書かれていない白紙の卒業色紙を持って帰って来ました。担任からこれを渡されたと息子は言いました。私は不思議に思い、息子の名前以外何も書かれていない白紙の色紙を渡されたが、これはどういう事なのか分からず、先生に聞くと、色紙を持って来るように言われました。卒業式当日、先生が数人に頼み慌てて書いたような色紙を渡され、校長先生からも白紙で渡したことについて「今日は(祖父母も参加した)卒業式に来ていただいてありがとうございます。色紙の件、申し訳ありませんでした。」という謝罪がありました。

 

このあたりから、私は息子が友達関係で上手くいっていないのではないかと不安になりましたが、息子は家では笑顔を見せていました。また、この時、息子は「いじめ」の言葉を口にしませんでした。

 

小学校5年生の時は、息子は友達と何の問題なくよく遊んでいたし、映画などを観に外出する事もあったので、私はそれまで息子の交友関係に特に不安を抱いていませんでした。二者面談の時に毎回友人関係はどうかと聞いていましたが、担任は問題ないと言っていました。そういう事もあり、先ほどの怪我にしても、「いじめ」という状況と結びつかず、男の子同士でよくある一時的な衝突だと思ってしまっていました。

 

(次回へ続く)